諫皷(かんこ)苔(こけ)深(ふかう)して鳥不驚(おどろかず)と云(いへ)る唐(もろこし)
の例(ためし)はおろか泰平(たいへい)の御代(みよ)にはいらぬ
ものとなりて弓(ゆみ)は袋(ふくろ)太刀(たち)は鞘(さや)に治(おさま)れる
愛度(めでた)き兜人形(かぶとにんぎやう)菖蒲太刀(しやうふたち)も端午(たんご)の
餝(かざり)ものとなりてすら負(まける)が嫌(きら)ひの男児等(をのここら)
勇(いさ)ましき東魂(あづまたましの)■ひ■(はなし)を画(ゑ)に写(かい)■
御伽双紙(おとぎさうし)となせしもの世(よ)に数多(あまた)
行(おこなは)れたり仍(より)て先(さき)に勇見袋(ゆみふくろ)と号(なづけ)
梓(あづさ)にのぼせり其次編(そのしへん)に武智袋(むちふくろ)と
題(だい)して再(ふたゝび)桜木(さくらぎ)に寿(ことふく)ものならし
 甘泉堂主人しるす