序文

序 むかし 大泊瀬の御時堅貴の画部 をおかれけること国史にしるされにしより 相覧常則公望か名紫の物語に見へ侍れと その残れる跡とてはいまの世にみるへくも あらす文亀永正よりこのかたいみしき画 とものわつかにのこり侍けるを年比こゝかしこ にてうつし…

一 古人(こじん)名画(めいぐは)の中(うち)殊(こと)に勝(すぐ)れたるを えらひあつむ筆のあたり遠近(えんきん)の 位(くらゐ)心を付らるへし墨のこきうすき は筆のたてはしめひきすてにても しれ侍るへし 一 うす墨のくまとりは板(はん)にうつ…

和漢名筆画譜序 摂江之隠君子集倭漢名画 之真蹟世寶而在人之耳者数 十幅手写之欲繍梓伝不朽吾 友佐々木氏来示于余曰彼隠君 子非售名者好画之癖変欲為 世間流布之珍玩是亦利済之一 事也請為之作序焉余曰画豈 易言夫六芸之外画之用固 大也然画與書相同則雖謂 …

「于/時安永丙申之歳歳暮春三月/望後三日総之下州楫取県之野生/鴻台建視思明謹識」 上巻1オ〜4ウ、漢文のため後日検討→[書誌]参考文献2参照

欄間図式序(らんまづしきのぢよ) 此(この)三巻(くはん)は欄間(らんま)彫物(ほりものゝ)工夫(くふう) の便(たより)に図(づ)をあらはす 之板例(はんれい)をいはゞ陰(いん)ぼりは 紋(もん)をすかし陽(やう)ぼりは地(ぢ) をすかす黒(くろ)きは彫(ほり)すかし た…

絵本和歌浦(ゑほんわかのうら)序(じよ) 画(ゑ)は無声(むせい)の詩(し)詩(し)は有声(ゆうせい)の画(ぐは)と ■■()にて其(その)かたちを書(かき)あらはすにおのづから 物いへる心地(こゝち)し侍(はべ)るは絵(ゑ)なり爰(こゝ)に浪花(なには)の 高木氏(たかぎうぢ…

本朝画林序 夫生於百世之後対千古之英雄。不 費於一歩之労看万里之勝景者。皆 是丹青之用而。所以使人情従容遷 義志仁也。是以和漢豪士曽得美於 画筆者尤多矣。況如今於 本朝海内浴昇平之化。放牛于桃林之 野耕馬于華山之陽時運乎。都鄙好 弄毫徒星散雲簇。…

勇見袋(ゆみふくろ)序文 水(みづ)の辺(ほと)りに口(くち)なければ舌(した)に釣(つり) 針(ばり)の憂(うれ)ひなしとは治(ぢ)にして乱(らん) なしといへる訛字(あてじ)まじりの謎々(なぞ/\) とこそ其(その)なぞ/\の薙刀(なぎなた)も治(おさま)る 世(よ)には…

序 画(ゑ)のことは素(しろ)きを后(のち)にししろきに後(のち)に すとかや高論(いへる)むつかしき漢画(からゑ)も物換(ものかはり)星(ほし) 移(うつり)て名家(めいか)の風流(ふうりう)おなしからずさりや やまと絵(ゑ)に名(な)たゝる三都(さんと)の画工(ぐはか…

絵本(ゑほん)千々武弥満(ちゝふやま) 序 北尾(きたを)左助(さすけ)源重政(みなもとのしげまさ)筆鉾(ひつほう) の鞘(さや)をはづし机上(きしやう)に むかつてこれを揮(ふる)ふ に猛相(もうさう)の画図(ぐはと)忽然(こつぜん)と 顕(あら)はる猶(なを)侍(かたは…

叙 凡(およそ)句中(くちう)に画(ぐは)あるものあり画中(ぐはちう)に 句(く)あるもの有(あり)其(その)句中(くちう)に画(ぐは)ある 物(もの)に門生(もんせい)花藍(くはらん)が四時(しいし)の図(づ)を儲(まふけ)て とりあへず世都(よつ)の登起(とき)と題(だい)…

江都二色序 わらはへの玩ひ物を画て■■ と記せし図あり北尾氏の筆に 写し弄籟子の狂歌を添て一つの 草紙とはなりぬ絵はみな目を悦はしめ 歌はあけの崎を催すてうち/\の拍子 よきはなしの塩のしほの目にかゐくり 出し糸口のいと面白き筆を見て硯 の海の鱗形…

序 君(きみ)のめぐみぞありがたき四(よ)ツの海(うみ) しづかにして皆(みな)兄弟(けいたい)のむつみ をなし春(はる)の雨夜(あまよ)のつれ/\ ばなしつわものゝまじわりたの みある中(なか)のいさをしをかたるに まかせて書(かき)つゞり二巻(まき)のさうし と…

序 桜(さくら)を見(み)ては紅葉(もみぢ)を思(おも)ひ雪月(せつけつ) 花(くわ)の外(ほか)顔見(かほみ)を有(あり)三ヶの津同(をな)し と言(い)へと他(た)は日(ち)を窮(きはめ)す武江(ぶこう)は 霜朔(さうさく)時(とき)を違(たが)へす旭(あさひ)に 向(むか)ふ三…

序 国富(くにとみ)民(たみ)も豊(ゆたか)なるとしの旦(あした)の嘉瑞(かずい) とて千寿万歳(せんずまんざい)うたふなるうかれ童(わらべ) の円居(まとゐ)してかたりあへし金平(きんひら) ざうしに類(たぐ)ひたるむかし/\の武士(ものゝふ)の功(いさをし) をか…

序 鳥(とり)が啼(なく)東(あづま)の花(はな)の旦(あした)より雪(ゆき)の夕(ゆふべ)の其内(そのうち)の 江戸(ゑど)の名匂(なにほ)ふ品(しな)ゝをそこはかとなくかひ 集(あつめ)て飲中(いんちう)の北尾氏(きたをうぢ)に是(これ)を画(ゑがゝ)しむるを 見(み)る…

絵本藻塩草序 文をもつて画(ゑ)の言(ことば)とし画をもつて文の質(かたち)と するといえる事あり其かたちを秈(よく)なすものは 西川自得叟(じとくさう)なり今詩歌(しいか)はた狂句(きやうく)をあつめて かたちを予にこふ人あり思ふに只わらはべのいた つらこ…

絵本多武峯(ゑほんたむのみね) 泰平(おさめれる)春(はる)のあそひは犬打(いぬうつ) わらべも毬打(ぎでう)に戯(たは)れ あるは破魔箭(はまや)手挟(たばさ)み立(たち) むかふさまなど皆(みな)これ 蚩尤(しゆう)が暴逆(さかしまごと)を退治(しりぞけ)たまひ し…

やまと島根(しまね)は婦徳(ふとく)のすぐれたる丈夫(でうぶ) に劣(おと)らずさありとて牝鶏(らんけい)旦(あした)するの たぐひにしもあらず■(つら/\)異国(ひとのくに)を考(かんが)ふるに 艶色(えんしよく)を以て国(くに)を傾(かたふ)け奸悪(かんあく)にし…

文(ぶん)は朽(くち)ざるを以(もつて)自を治(おさめ)武(ぶ)は戈(ほこ)を止(とゞむる)を以 国(くに)を治(おさむ)る故(かるがゆへに)文武(ぶんぶ)兼備(かねそなは)る時(とき)には良将(りやうしやうと)仰(あをがれ) 備(そなはら)ざる時(ときは)血気勇(けつきのゆ…

序 道風(とうふう)の筆(ふで)といふ朗詠集(らうゑいしう)の嘲(あざけり)のがれがたけれ共 浅草(あさくさ)の仁王を朱(しゆ)に色(いろ)とるも見ものにかふるの働(はたらき) あればとがめあらしと唯(たゞ)絵そらごとの諺(ことはざ)にのがれ ぬむかし/\観(くわ…

江戸おやま絵本 美人(びしん)福徳(ふくとく)三十二相(そう) 全二冊 美人(びしん)福徳(ふくとく)の相(さう)を筆に言(ゆは)せ愚(おろか)なるかな 譬(たとへ)ば管(くだ)を以て天(てん)を窺(うかゞ)ひ蠡(かい)を以て海(うみ)を 測(はかる)語(ことば)を耳(みゝ)に…

曲中(きよくちう)年中行事(ねんぢうぎやうじ)序(じよ) 此書(このふみ)を年(ねん)中行事(ぎやうじ)と命(よべ)ることは。貞治(ていぢ)の 歌合(うたあはせ)によるにもあらす。亦(また)建武(けんむ)当時(たうじ)の まめだちたる。御作(ごさく)をしもしたふならす…

諫皷(かんこ)苔(こけ)深(ふかう)して鳥不驚(おどろかず)と云(いへ)る唐(もろこし) の例(ためし)はおろか泰平(たいへい)の御代(みよ)にはいらぬ ものとなりて弓(ゆみ)は袋(ふくろ)太刀(たち)は鞘(さや)に治(おさま)れる 愛度(めでた)き兜人形(かぶとにんぎや…

絵本武者兵勇士要石 全二冊上 武(ぶ)は勇剛(ゆうかう)にして仁義(じんき)有の■なり計(はかりこと)を廻(めくら)し 勇士(ゆうし)兵(つわもの)を楯(たて)に■て朝(てう)に奉(つかへ)背(そむく)しを退治(たいぢ) す剛(つよき)を以て要石(かなめいし)と名づく絵を…

畫本物見岡 序 絵(ゑ)の事(こと)は素人(しろうと)なりと 後(のち)の譏(そし)りをも恥(はち)すおよはさる 道(みち)にいまた迷(まよ)ひつたなき 筆(ふて)の行先(ゆくさき)もわきまへす 東都の名所をこゝかしこ得(ゑ)たり ねかわくは乳房(ちふさ)をつくる 手…

絵本江戸絵簾屏風 全二冊 絵本段々出来仕候 凡(およそ)絵(ゑ)の高事たかきこと)は。雲(くも)と齋(ひと)し。亦曰(またいわく)。遠山(ゑんざん)は。低(ひきく)近(きん) 山(さん)は高(たか)し。皆(みな)此法(このほう)を背(そむか)ず。遠(とをく)は。聖賢(せい…

絵本小倉(をぐら)錦序 今はむかし都小倉(をくら)の山庄(さんしやう) にて定家卿(ていかきやう)のゑらみたまひし 百首の色紙(しきし)むべなるかな 児女(じちよ)子の物よみ習(なら)ふつかさとは なり侍(はべ)りぬ爰(ここ)に予か友何某(なにかし) 発句(ほつく)…

秋旬無聊螵斎来ていふたま/\半日の閑 を得たり雅時の消遣すへきありやと我忽一 計を生しまつ彼に筆研を授け傍なる 字書を閲し漫に鳥部の文字をあけて 読む随てよみ随て写す終に犭部に及ふ 瞬息の間に飛走紙上に群をなす筆 勢の妙いわむかたなし戸庭を出す…

太平楽(たいへいらく)の巻物(まきもの)に曰(いはく)。京紅(きやうべに)の 朱(あけ)を奪(うば)ふ江戸紫(えどむらさき)。吉野(よしの)の 花(はな)に勝(まさ)る花(はな)の吾嬬(あづま)。軒(のき)より 出(いて)て軒(のき)に入(いる)月(つき)の顔(かほ)には。姥捨…