やまと島根(しまね)は婦徳(ふとく)のすぐれたる丈夫(でうぶ)
に劣(おと)らずさありとて牝鶏(らんけい)旦(あした)するの
たぐひにしもあらず■(つら/\)異国(ひとのくに)を考(かんが)ふるに
艶色(えんしよく)を以て国(くに)を傾(かたふ)け奸悪(かんあく)にして主(しゆ)を
陥(おとしいるゝ)の類(たぐひ)まゝ多(おほ)し我国(わがくに)いまだ必(かならず)し
もしかるものを聞(きか)ずさ■■■夫(おつと)に
倣(なら)ふて三徳(さんとく)を兼備(けんび)するかなたの
■人(じゆじん)こなたの婦女(ふじよ)新古(しんこ)を撰(えら)ばず是
を模写(もしや)して其操(そのみさほ)を栄(さか)ゆく春(はる)の
花木(くわぼく)にちりばむるも誠(まこと)にかけまく
もかたじけなき君(きみ)か代(よ)や
 月岡桃漪