柳(やなき)は緑(みどり)花は紅(くれなゐ)の色々にて春の
慰(なくさみ)は数多(あまた)ある中(なか)にも高閣(かうかく)錦帳(きんちやう)
のうちの幼君(ようくん)雅公(がこう)の遊(あそび)には広説(ひろくとき)
艶詞(やさしきことば)の諺(ことわざ)に如(しか)じと絵(ゑ)にし筆
を廻らせしは丹青(たんせい)氏(し)の妙用(めうよう)と
辞(ことば)を咲(さか)す花の緑(みどり)と題(だい)して
三ツの巻(まき)となせしは幾千代(いくちよ)春
の永(なか)き日を忘るゝね覚(ざめ)の御伽(とき)
に備(そな)ふと筆に任(まか)せて而言(しかいふ)もの
ならし(なるらし)
宝暦十三のとし未春書於
     二酉堂亭

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  序文画像①
  序文画像②