絵本多武峯(ゑほんたむのみね)
泰平(おさめれる)春(はる)のあそひは犬打(いぬうつ)
わらべも毬打(ぎでう)に戯(たは)れ
あるは破魔箭(はまや)手挟(たばさ)み立(たち)
むかふさまなど皆(みな)これ
蚩尤(しゆう)が暴逆(さかしまごと)を退治(しりぞけ)たまひ
黄帝(かうてい)の故事(ふること)より起(おこ)り
侍りしとなり爰(こゝ)に多武(たむ)
の峯(みね)と題(だい)するものは古今(ふるきあたらしき)
功(いさほし)ある人々を集(あつ)め像(かたち)を
紅翠軒(かうすいけん)の筆(ふで)に任せて
おなしく百鬼夜行(をにのこぬ)
咒法(まじなひ)になし侍らんと
浪華の玄々子序