序(しよ)
時津風(ときつかぜ)鳴(なら)さぬ枝(えだ)に囀(さへず)る鶯(うくひす)濁(にごり)なき代(よ)の
水(みづ)に住(すむ)蛙(かはず)もみな敷島(しきしま)の道(みち)直(すぐ)に豊(ゆたか)なる初(はつ)
春(はる)の家土産(いゑつと)幼稚(おああひ)の目(め)を悦(よろこば)しめんと鈴木(すゝき)氏(うぢ)に
画(ゑ)を需(もとめ)歌僊(かせん)の和歌(わか)を今様(いまよう)に写(うつ)し傍(かたはら)に童(わらん)
子(べ)の教(をしへ)とも成(なる)るべき辞(ことは)を書添(かきそへ)よと書林(しょりん)
金山堂(きんざんどう)の勧(すゝ)めいなみ難(がた)く唯(たゝ)世(よ)の中(なか)に
耳(みゝ)なれ有(あり)ふれたる正直(すなを)の事(こと)を述侍(のべはべ)りぬ
僕(やつかれ)元来(もとより)和歌(わか)の道(みち)をしらず其(その)拙(つたな)きは短(みちか)き
才(さい)と見(み)ゆるし給(たま)へとしかいふ
明和 年 正月 禿帚子書

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