歴代武将通鑑序
本邦(わがくに)歴代(れきたい)の正史(しやうし)を読得(よみえ)むこと大人(たいじん)といへとも
難(かた)かるへし況(いはんや)童子(どうじ)の蒙昧(もうまい)なるもの何(なん)そ是(これ)を
看(み)ることを得(え)ん爰(こゝ)に武将通鑑(ぶしやうつがん)といふ文(ふみ)あり
いまた其作者(そのさくしや)を知(し)らす或(あるひと)のいはく北尾某(きたをなにがし)か
自画(みつからゑかき)自註(みつからちう)せるものなりと予(よ)閲(けみ)してその
事実(じじつ)を考(かんかふ)るにはなはた正史(しやうし)にちかし是(これ)を
童子に与へて竹馬(ちくば)と鳩車(きうしや)とに換(かへ)しめは
教(をしへ)すして故事(こじ)を諳(そらん)し且(かつ)懲悪(てうあく)の一助(じよ)をなさんと
しかいふ
 天明乙酉春 伯楽宿屋主人誌