『絵本あけぼの草』
序(じよ)
新玉(あらたま)の春(はる)閑暇(かんか)なるまゝに童蒙(どうもふ)
の業(わざ)なふしていたづらに日を
過(すご)すを感(かん)じ自(みづから)いたづらをせんも
長(おとな)げなく日を暮(くら)しかねしが不(ふ)
斗(と)荘周(そうしう)が無用(むよう)の用(よう)を思(おも)ひ
出(いだ)し是(これ)を童蒙(どうもふ)に示(しめ)さん事を
おもひ畫(ぐは)を石川氏(いしかわうじ)に乞(こふ)て俚(こと)
諺(わざ)をそへ童蒙(どうもふ)のために
無用(むよう)の用(よう)に備(その)ふことおさ/\
彼人(かのひと)にも劣(おとる)まじと自(みつから)ほこ
れるはこれ井蛙(せいあ)の天(てん)も方(けた)
なると覚(おぼへ)たるが如(こと)しと諸人(もろひと)の
笑(わら)ひを求(もとむ)るところ是則(これすなわち)
はつ春(はる)の賑(にきわひ)ならむと書林(しよりん)
にあたへて梓(あづさ)にちりばめ■(ぬ)
  禿帚子書
 己丑のはつ春

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