鳥(とり)が啼(なく)東(あづま)の花(はな)の旦(あした)より雪(ゆき)の夕(ゆふべ)の其内(そのうち)の
江戸(ゑど)の名匂(なにほ)ふ品(しな)ゝをそこはかとなくかひ
集(あつめ)て飲中(いんちう)の北尾氏(きたをうぢ)に是(これ)を画(ゑがゝ)しむるを
見(み)るに花洛(きやう)浪華(をゝさか)の形容(しな)を出(いで)て東都(とうと)の
風情(ふぜい)をたがへずこれを桜木(さくらぎ)にうつしてまだ
見ぬ郷(さと)の童(わらわべ)に佳土産(よきみやげ)ならんと題(だひ)をそのまゝに
かうむらしむ猶(なを)首尾(しゆび)のおかしきは両人(りやうにん)対酌(たいしやく)
のうへと見(み)ゆるしたまえ
 酔友 陳平鯉文書